協調性不足は「今いる会社」、「今いる組織」でうまくやっているかで判断される。
もちろん協調性に問題があれば、問題社員の解雇理由となり得ます。そして、ここでいう協調性とは「その社員が、その会社でうまくやっていけているか」ということです。
例えば、変わっている人ばかりいる会社だとしても、その人たちとうまく関係を作って仕事をしていく必要があるというのは前提となります。過去に在籍した他社ではとてもうまくやっていけた人でももし今周りとうまくやっていけなかった場合でも、協調性不足として立派な解雇理由になります。一般的にどうこうというよりも、「今いる会社」「今いる組織」において、他の社員と協調性が保たれているかという点が重要になります。
ただし、職場や組織の変更して改善の機会と適正な職場を提供する。
協調性に問題があるといっても、実は会社や上司側に問題があることもあります。特に上司の対応を誤認していると問題の根本は解決できません。
先日対応したケースでは、社長が信頼していた取締役が実は精神疾患でその取締役が本意ではないとはいえ、それまで問題視されていた部下に必要以上のパワーを与え続けていたことが発覚したということがありました。会社も私も事実を誤認して、その部下の協調性を疑い続けていましたが、他の社員へのヒアリングで発覚したものです。目の前の問題だけを正面で捉えず、あらゆることを考えて対応する必要があります。
もっともわかりやすいのは、組織の変更や配置転換などによって周りの人間を変えてしまうことです。どこの組織や仕事内容でも問題を起こし続けるのであれば、それは問題社員とされている本人に改善を求める対応が正義かどうかハッキリします。
組織、職場の変更は本人に変わるきっかけを与えるだけでなく『改善の努力』としても評価される。
本人側だけの問題でない可能性もあるので、組織変更や配置転換などによって周りの人間を変えることができる会社であれば、やはり最低一度はやっておくべきです。
仮に改善されなかった場合でも「改善機会の付与」と評価されます。不本意だとは思いますが、解雇しないと組織秩序が維持できない場合には、一発で解雇するのと組織変更や配置転換を行った上での解雇では、そのリスクは雲泥の差です。
その社員を組織変更や配置転換をする余裕がない場合には、問題行動の都度に指導をした上で、問題行動を詳細に記載した書面などを手交して、会社が改善のチャンスを与えたことを明確しておく必要があります。本人にも会社の本気度も伝わりますし、解雇云々の前に本人が変わったり、周りにフィットして改善されればお互いにとって最善です。