個人的な借金の問題はあくまで私生活上のことですので、懲戒事由には問えません。
業務に支障がないとは言えませんが、この場合の多くは、取り立てる側に問題がありますので、会社は毅然とした対応をとり、必要に応じて警察に通報するべきですね。
社員がサラ金などから借りた金を返せず、取り立ての電話が会社にかかってきたり、場合によっては会社に直接訪問し、督促にくるケースがあります。
債務者の取り立て行為については、貸金業法21条において「正当な理由がないのに、債権者等の勤務先その他居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること」を禁止しています。
したがって、そもそもサラ金業者が違法行為していることに加え、借金自体が私生活上の問題であることから、懲戒事由に該当しないことになりますね。裁判所から給与差し押さえ命令や自己破産した場合も同様です。
ただし、当該社員が経理担当であったり、金銭を扱う業務に従事している場合は、ほっとくわけにはいかないですよね。この場合は、配置転換で対応することになりますね。
配置転換を行う余裕がない企業規模であれば、退職勧奨を前提とした普通解雇の可能性が出てきますが、例外的と言えますね。
ただ、以上のような対応は、『あるべき論』で根本的な問題は解決できないかもしれません。
本人は相当行き詰った状況だと思いますから、自己破産や債務整理のために、会社が弁護士を紹介することも必要かと思います。
そして、問題解決のための長期間の「休み」を与えることで、その後は復帰しにくくなりますから、本人から退職届が提出されることも少なくありませんね。