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解雇をする前にやるべきことは

特定社会保険労務士 脇 淳一「解雇したい!」と考えた場合、いくら社員の言動に問題がある場合でもやはり初めは、「誠意を尽くして、話し合いで決着を目指す」ということにつきます。入社時も話し合いで入っているので、別れる時も話し合いで別れるのは普通なことだと思います。

採用した会社も社内的、同義的な責任があり、誠意のない対応は法的リスクも高いだけでなく、社内的な悪影響も考える必要があります。社内組織へのハレーションに加え、外部機関を交えたトラブルリスクも大きく有ります。確かに労力は掛かりますが、話し合いで解決できれば経営的に見ても、リスクも少ない上、組織への影響を最小限で解決するためには最善です。それが会社としてのモラル、トップとしての責任とも考えます。

問題社員といっても、本当に社員だけが悪いか、その『問題の本質』を考え、本当にその人だけが悪いのか、少し正義がどちらにあるのかを検証した上でないと、新たに人を採用をしても、また同じようなことが起こるかもしれません。本人との話し合いの中で知らなかった事実や本人の意思が見える可能性もあります。

解雇における経営リスクは

話し合いを重ねても解決できそうになく、残ってもらうと組織への影響が大きすぎたり、このまま会社に残ることが本人のためにもならないと判断した場合には、やむなく解雇することになります。

解雇を決断した後はリスクを知っておく必要があります。もし解雇した後に「不当解雇だ!」と主張されて、裁判所に提訴され解雇が無効と判断されたとします。

この場合、裁判所から『解雇した日の翌日から判決の日まで、さかのぼって賃金を支払いなさい!』と命じられ、これはバックペイなどと呼ばれています。東京の地方裁判所の判決をもらうだけでも、平均11ヶ月程度と言われていますので、裁判所の視点で解雇の正当性が認められないと、年収程度の負担を強いられることになります。係争中は、何度か裁判所に呼び出されますから、経営者の重要なな時間も奪われることになります。

そして判決後、問題社員本人に定年まで賃金を支払う必要があったり、「会社復帰の意思」があれば1年近く、裁判所で戦った社員と、また一緒に仕事をしなくてはならないのです。これが、解雇する際の『リスク』です。リスクなのでどこまで現実化するかはさておき、解雇を決断する上では知っておくべきリスクです。

解雇理由通知書は、ひな形は使わず詳細に作成する

このリスクも容認して社員を解雇をするときには、まず解雇理由を書面(以下「解雇通知書・理由書」とします)で作成、通知する必要があります。

ここでの重要なポイントは、「解雇通知書・理由書は詳細に作成する」という点です。

  • ① 問題社員の職種などの基本情報
  • ② 問題社員の入社の経緯
  • ③ 今に至るまでの具体的な問題社員の問題行動
  • ④ 会社の問題社員に対する指導経緯
  • ⑤ 指導の対する問題社員の反応
  • ⑥ 就業規則等における解雇の根拠条文

これらの内容を詳細に記載します。本気で取り組むと、A4サイズ横書きで10枚以上になることもあります。このような詳細な解雇通知書・理由書を作成する理由は、以下の2つです。

  • ① 「合同労組や弁護士などの外部機関に相談すれば、相談を受けている側も、解雇理由書に目を通すことになり、会社側の主張を外部機関に予め伝えることができる。」

  • ② 裁判に移行したとしても、「裁判になったから、後付けで会社にとって都合の良いことを並べているのではない」ことを証明できる。

解雇の通知方法は?

解雇する場合、ケースバイケースではありますが、基本的に事前に問題社員に悟られないようにするのが通常対応になります。問題社員を呼び出して、解雇を通知することになります。即時解雇する場合には、解雇予告手当を現金で準備しておきます。

本人を呼び出して、前項で触れた理由が詳細に記載された解雇理由書を渡し、できればその場で問題社員本人に声を出して読んでもらうか、こちらから全て読み上げて、解雇を通知し終了です。

解雇を通知した後でも、最後まで誠意を忘れず合意退職を目指す!

解雇の通知時においても話し合いによる解決、合意退職ができる余地を探りましょう。例えば「このように解雇を通知すること自体、我々として大変不本意です。例えば7日以内に退職合意の返事をいただければ解雇を撤回して退職の条件を再考する余地もあります。窓口は○○なのでいつでも連絡をください」と伝え、解雇撤回の可能性も伝えます。

とにかく最後の最後まで合意を目指すスタンスです。考えが相反する中でも相手の言い分もしっかり聞き、解決策を見いだせないのか極限まで追求します。聞いている中で会社側の問題も分かるかもしれませんし、本人の思いの風向きが変わる場合もあります。実は持病や精神疾患などがあり本人も困っている場合もあるかもしれません。新しい事実が分かれば経営判断として異なる対応も出てきます。

ここは、多角的かつ高度な判断が必要で、精神的にも疲弊しますがそれは相手も同じです。一度は縁があって採用した社員ですので、しっかり話し合い解決を目指しましょう。誠意ある対応が結果的に組織のハレーションやコスト的観点でもダメージを最小限にし、組織における正義も守ることに繋がります。

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