健康管理の観点から基本的に可能。
今日では、女性の社会進出が全く珍しいことではなくなり、社会全体で見ても重要な労働力であることは明らかです。人口が減少していく中で、この傾向が大きく変わることはないと思われます。
一方、企業は人件費の削減が進み、ムダな残業は認めない傾向にあり、終業時間になると、強制的に退出を命じる会社も少なくありません。残業が禁止になれば、おのずと残業代が支給されなくなりますので「終業後に副業しよう」という女性社員が増加傾向にあり、賃金の高い水商売で働く女性も増えている一方、会社はプライベートとはいえ、やはり禁止にしたいと考える場合も多く、そもそも禁止にできるかどうか、議論になることがあります。
終業時間後はあくまでプライベートな時間ですので、単に副業を禁止にしたり副業をしていることのみをもって、懲戒処分を行うことはできないと考えられます。
ただし、水商売の場合、通常、労働時間が深夜に及ぶものです。『心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について』(旧労働省通達H11.9.14)によると「例えば所定労働時間が午前8時から午後5時までの労働者が深夜時間帯に及ぶような長時間の時間外労働を度々行っているような状態等が認められる場合」には「恒常的な長時間労働」として「精神障害の準備状態を形成する要因となる可能性が高い」としています。
このように、通常の業務を行った後に、さらに深夜に及ぶ労働を恒常的に行えば、精神障害になる可能性が高く、会社はこれに配慮する必要があると述べており、このような状態を放置すれば、会社が損害賠償などの会社責任を問われることになります。したがって、健康障害防止の観点から、深夜に及ぶような副業については、禁止することが可能であり、これに反して、副業を繰り返した場合は、懲戒処分が可能と考えられます。