私生活上の問題ですので、原則として解雇あるいは懲戒処分にはあたらないでしょう。
ただし、取引先関係者等との不倫問題であれば、結果として得意先の信頼を失うことにつながりかねませんので、懲戒処分(雇用継続を前提としたもの)は、可能でしょう。
社内間の場合、職場の人間関係に支障が生じるのが現実でしょうから、『配置転換』で対応することになります。
不倫は、セクハラとは異なり、「女性が好意を持っている点(あるいは持っていた)」に違いがあります。
不倫は、あくまで私人間の問題ですので、会社が介入して、解雇あるいは懲戒処分を行うということはできないというのが、今の裁判所の考え方です。
しかし、不倫相手が取引先の関係者などで、会社の信用問題に発展する可能性があれば、少し話が変わってきます。特に「お得意様」であれば、契約を失った際の影響は大きいですから、普通解雇あるいは懲戒処分が可能と言えると考えられます。(ただ配置転換できる余裕があれば、配置転換で対応するのがベターと考えます)
一方、社内間の問題の場合、確かに影響がないわけではありませんが、客観的に見て懲戒規定等に違反するとは言えない場合が多く、解雇や懲戒処分はなかなか難しいでしょうね。
したがって、配置転換をして問題を解決することになりますが、もし不倫関係が「男性の上司」と「部下の女性」間であれば、可能な限り『男性の上司の方』を配置転換すべきでしょうね。
部下の女性を配置転換した場合、そのポジションに不満があれば、「あれは不倫ではありません!セクハラです!なぜ、被害者の私が配置転換させられるのでしょうか?」と言って、セクハラ問題に発展する可能性があるためです。事実は当事者にしか分かりませんからね。
会社の規模や事情によって配置転換する余裕がない場合は、退職勧奨を前提とした普通解雇もやむを得ない場合もあるかと思いますので、社内への影響、会社の方針を考慮しながら、慎重に対応しましょう。