賃金の詐欺行為だが罪の重さを認識していない場合が多い。
残業時間の水増しや不正申告は、賃金の詐欺行為でもあり状況によっては、懲戒解雇も十分に考える重大な企業秩序違反ですが、気軽にできるという点から罪の重さを感じていない場合も多いです。
残業時間の申告について、主に社員の自己申告やタイムカードの打刻だけに任せている会社も多くあると思います。申告制の場合、時に残業時間を水増しして、多くの残業代を得ようとする場合があります。
社員からすれば、比較的簡単にできる行為であり、気軽な気持ちでやってしまう場合もあるようですが、会社からすれば信用している社員からの『詐欺行為』そのものであり、会社に対する偽りの報告あるいは届出、会社を欺いて業務の損害を与える行為であり、実際に行うかどうかは別として、懲戒解雇といった厳しい対応も検討する余地があります。
意図していない場合もあり、最初は口頭注意で様子を見る。
ただし、営業社員など、そもそも労働時間の把握が難しく、本人もそこまで正確な報告を意識していないケースがあります。本来は、毎日正しく報告するべきなのですが、『平均して○時間程度残業している』と申告してくる社員が多いのも事実ですし、気軽に行いやすいという点からも、いきなり解雇等は、常識的に厳し過ぎると思われます。
やはり、実務では気軽に行いやすいという点から初回は口頭で注意し、それでも改まらない場合は軽い懲戒処分とすることが通常対応になるでしょう。悪意が感じられれば、状況に応じて改善指導書を作成し、具体的な注意の内容や服務規定の該当条文を記載し、渡すことで厳しく注意することも必要になります。
いずれにしても、本人がその罪の重さをわかっていないケースも多いので、その程度にもよりますが、初めは厳しく注意、あるいは懲戒処分にとどめてあまりにも悪質であったり、繰り返し行うようであれば雇用関係の解消まで検討することになります。