基本的にできないものの、交渉の状況によっては可能。
労働組合や合同労組との進捗状況をあまり考えずに、一方的に団体交渉を打ち切ったり拒否をすると当然に『不当労働行為』と判断されることになります。
しかしながら、会社と労働組合が繰り返し団体交渉を積み重ねたにもかかわらず、双方の見解の対立を解消できず議論や交渉が平行線を辿ってしまった場合は、会社が団体交渉を拒否しても正当な理由があるとされ不当労働行為とはなりません。これは俗に『デッドロック』などと呼ばれています。
会社は労働組合との交渉に誠実に応じ、要求事項を吟味した上で回答を行う必要がありますが、組合から要求があったからといってその要求に応じる必要はありません。会社が検討し、これを繰り返して説明したにもかかわらず組合がその内容等について、執拗に団体交渉を申し込んでくる場合は団体交渉を拒否しても不当労働行為とはならない場合もあることを念頭に置いておきましょう。
『誠実交渉義務』とは?
会社が団体交渉そのものを正当な理由なく拒否すると、当然に不当労働行為となります。会社が一応交渉のテーブルには立っているものの、全て検討の余地もなく拒否するなど、交渉態度が誠実ではない場合も不当労働行為となってきます。
誠実な交渉態度とは、裁判例によると「労働組合に対し、自己のよって立つ主張の根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示するなどして、誠実に交渉を行う義務があるのであって、使用者には、合意を求める労働組合の努力に対しては、右のような誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する義務がある。」(株式会社シムラ事件(東京地裁H9.3.27)とされていますので、合意する義務はありませんが、団体交渉のテーブルに立ち、団体交渉の内容をよく検討し、是々非々で労働組合に対応する必要があります。