組合員が不明でも、合同労組・ユニオンの団体交渉拒否は不当労働行為となる。
労働組合は、労働委員会に証拠を提出して労働組合の定義や必要記載事項が規定されていることを証明しなければ、労働組合法における保護を受ける事ができません。
初めて団体交渉の申し入れがあった労働組合に対しては、労働組合として団体交渉に応じる義務があるのかどうかを確認するため、このような事項が具備されているかどうかの確認を行う必要があります。
これに従えば、初回の団体交渉の前後に組合員名簿を求めることになります。しかし、相手方の労働組合からは「組合員が明らかになると会社が個別に不利益を及ぼしかねないので、組合員の保護のために公表しない」と回答する組合があります。
本質は組合員である社員との問題解決。
上記を理由に団体交渉に応じない姿勢を持つ会社や、そのような指導をなさっている弁護士の先生もいらっしゃいます。しかし問題の本質は、組合員である自社社員との問題解決であり、小手先の対応で、労働組合との交渉をうまく切り抜けることではありません。
団体交渉に応じなければ不当労働行為になり、問題解決も一向に進みませんので、労働組合の手を離れ、組合から紹介された弁護士の先生が代理人になれば相当印象が悪い中で交渉をスタートさせることになるので、最終的なリスクも大きくなります。
したがって、労働組合の規約や組合員名簿は求めるものの、提出や提示を拒否されたからといって団体交渉を拒否するのではなく、求めつつも団体交渉に応じる対応が妥当です。
団体交渉の内容は、会社が分かり得る範囲の組合員の条件交渉に限定するのが一般的。
組合員名簿が提出されない場合、労働組合が主張する組合員と通知書などの書面から認識できる組合員が異なる場合には、要求事項がそもそも「義務的団交事項」なのか、そしてどの社員に関する交渉なのかはっきりしないまま交渉がスタートすることになります。
闇雲に組合側の要求に合わせると、いつの間にか組合員か分からない社員の労働条件に関しても交渉している場合があります。
担当者や労働組合によってすべてが敵対関係ではないので是々非々の対応が必要ですが、労働組合への加入通知書や団体交渉申し入れ書などの文書、そして団体交渉に参加している社員のみを組合員として認識し、認識した社員の労働条件に限定して交渉するのかそうでないのか認識を忘れないことが重要になります。