外部の労働組合から団体交渉の申し入れが来た!
社員が合同労組に加入し、団体交渉の申し入れなどがあった場合には、たとえ1人だとしても労働組合が社内にできた前提で対応する必要があります。
外部の労働組合へ加入した社員が一人だけだったり、初めての労働組合対応をする場合、軽視しがちで訳も分からず無視することもあります。一般企業がそのように無視することがあることも、相手の労働組合も分かっていて、返事がないとすぐさま労組法違反、不当労働行為であると主張されます。これは労働組合法によれば立派な不当労働行為となります。
未だ諸説はありますが、外部の合同労組でも労働組合として交渉する必要があり、行政機関である労働委員会や司法の裁判所も外部の合同労組を労働組合法の保護する労働組合としてこれを認めています。
つまり、たった一人でも外部の合同労組に加入した場合には、社内に労働組合が設立されたと同視して労働組合対応を検討する必要があり、もうその社員との話し合いのみを以て解決するレベルではないことを認識する必要があります。まして、当人を呼び出して「外部の労働組合なんて加入するな!今すぐ脱退しろ!」など迫ったり、「要求は叶えてあげるから、今すぐ組合など辞めてきなさい」などと話せば、支配介入といって明らかな不当労働行為となります。これは仮に善意であったとしてもです。
ついては、外部の合同労組とはいえども、社内における労働組合として認識した上、団体交渉を通じて問題解決を図る必要があり、誠実的な対応を考えていく必要があります。
団体交渉においてしてはいけないこととは?
団体交渉において誠実的に対応する意思があっても、特に初めてであれば具体的にどのように対応すれば良いのかわからないのも当然です。当方の経験上、労働組合の中には明らかに会社の揚げ足を取る意思を持った労働組合も存在します。労働組合側は不正確な要求でも許されるのに、会社側は正確な回答が求められます。理不尽といえばそれまでなのですが、そのような仕組みになっていることが現実です。
その中で、少なくとも以下のような対応をすることは不誠実交渉、形式的な団体交渉とされるリスクがありますので、注意する必要があります。
団体交渉における不誠実交渉の代表例
- ① 労働組合の要求に回答は行うものの、その回答の根拠となる資料、書類などを一切提示しない対応
- ② 一応の回答は行うものの、十分な説明がなく合理性に疑義が生じるような説明、発言に終始する対応
- ③ すべて画一的に要求を拒否する回答に終始し、その検討を全くしていない対応
- ④ 担当者が交渉権限、妥結権限を実質的に保有しておらず、全て社内に持ち帰って検討する、権限のある上司等に確認すると言って、その場で何ら結論、協議を行わない対応
- ⑤ 初めからすべての要求に拒否をする回答、宣言をして検討すら行わない対応
当然、一概に言えるものではありませんが、上記のような対応は不当労働行為であるとの主張がなされ、労働委員会でも不当労働行為と認定される可能性が高いものですので、避ける必要があります。