合同労組の要求日時に必ずしも応える必要はない。
社員が合同労組へ加入した場合、加入通知とともに第1回の団体交渉の開催要求がなされることが一般的です。この開催要求を、文書で通知された日とかなり近接した日時で要求してくる場合が多く、当方の経験では突然会社へ押し掛けて「これから団体交渉を行う!」といって、無理矢理に社内で団体交渉を開始する組合も存在します。
結論から申し上げますと、これらの開催要求に応じる義務はなく、提案された日では日程調整がつかない場合には、合理的な範囲で再調整も可能であり、要求通りに団体交渉を開催しなくとも、業務の都合などの正当な理由が存在し、別の案を提案すれば、不当労働行為とされるリスクは基本的にないので安心してください。
裁判例においては、当日開催の開催要求にはなりますが、「被控訴人支部の団体交渉申入れは~当日は延岡郵便局長が熊本郵政局から同郵便局に来局した熊本郵便局の長井業務課長と遅配対策についての業務打合せ中であったのに同日午後1時半ごろに同日午後3時からの交渉を求めたのであって時間的にも切迫して余裕がなく、かつ、~同日は被控訴人支部応援のため外部組合員が多数集合しており、被控訴人支部長土田靖が団体交渉申入れに際しその中で団体交渉をすると申入れたのであるから~その拒否には正当の理由があつたと認められ、~同日に交渉が行われなくても、同日から同月末日までの間にこの交渉が行われれば交渉自体が無意義になるという事情もなかった」として不当労働行為にあたらないと判断しています。
ただ、あまりにも先々の日時を提案することは不誠実交渉とされるリスクが生じますので、団体交渉が申し入れられた日から2週間前後の範囲内で提案することが妥当です。