労働基準法のコンセプトは「働く人の健康を守ること」
労働基準法では、労働時間について以下のように定めています。
- 1. 1週間で40時間以内とし、さらに1日8時間を超えて労働させてはならない(労働基準法32条)
- 2. 労働時間が1日6時間を超える場合には最低45分間以上、8時間を超える場合には最低60分間以上の休憩時間を途中に与えなければならない。(労働基準法34条)
- 3. 毎週1日は休日を与えなければならない。
- 4. 上記を超える場合には、時間外労働・休日労働に関する協定を締結し労働規準監督署へ届け出た場合に限り、割増賃金を支払うことでこれが可能となる。
裁判所は、会社に「社員の安全と健康を守る義務がある」と明確に判断している。
最高裁判所は、会社に社員に対する安全配慮義務があるとしており、安全配慮義務とは「労働者が労務提供のために設置する場所、設備、若しくは器具等を使用しまたは使用者の指示のもと労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務」があると明確に述べています。(川義事件.最高裁昭和59年4月10日判決)
この安全配慮義務は、じん肺などの特殊な職業病の「安全面」について配慮義務の有無を言及したものですが、「健康面」については電通事件最高裁判決で、使用者には労働者の健康を損なわないように注意する義務があるとしています。そして、この注意義務の根拠に労働基準法の労働時間規制や労働安全衛生法を挙げています。
精神健康管理における社員教育の重要性
社員の精神健康管理は、長時間労働を防ぐ適正な労働時間管理は当然のことながら、セクハラ・パワハラ・モラハラといった職場環境整備などの多方面からの管理が必要な時代です。特に管理職に対してはジェネレーションギャップを正と捉える理解教育が必要で、教育の徹底が精神障害等の予防に必要不可欠です。
個々の事案でも安全配慮義務や健康注意義務の履行判断において、「予防に関する社員教育がどのくらい行われていたか」も問われることになります。ハラスメントの理解教育が事故を予防して会社のリスクヘッジにつながります。