会社からの貸与物と私物を分けて考える。
会社から貸与されている物や範囲であれば、必要性に応じて調査の方法や程度に注意して行うことで可能と言えます。会社が行う所持品検査の有効性について、最高裁判決(西日本鉄道事件・最高判昭43.8.2)で、以下の要件が挙げられています。
- 検査が、合理的理由に基づいて行われること
- 検査の方法ないし程度が、一般的に妥当なものであること
- 画一的に実施されるものであること
- 検査が、就業規則その他、明示の根拠に基づいて行われること
所持品検査でも、会社から貸与している物、あるいは範囲であれば、会社施設と物品の管理権限の行使として、検査の必要性の程度に応じて、社員本人の同意をとったり、立ち会いの下で行ったり、目で簡易に確認するなどして、調査の方法や程度に配慮して行えば問題ないと考えられますね。
私物の調査は、調査しなければならない理由が余程に明確に存在した場合に限られる。
自家用車などの私物を調査する場合には調査を行うための明確な根拠が必要です。例えば、ある社員が窃盗している現場を他の社員が目撃して、窃盗品をまだ持ち合わせている可能性が高い場合など、調査の必要が相当ある場合に限ると考えられます。
ただ、いずれにしても、相当な問題社員の場合を除いて、誰もが良い気分になるものではありませんからこのような理屈を出す前に、本当に調査の必要性があるのかを熟慮した上で、十分な説明を行い理解を得ながらやっていきましょう。