『採用前』に健康診断を行って、応募者が「健康であるかどうか」を確認することが重要
会社における健康診断は、年に1回行うこととされ、多くの会社が実施されていると思いますが、意外と知られていないのですが、採用時においても、健康診断の実施が義務付けられております。(労働安全衛生法66条及び同法規則43条)
そして、会社を守るために重要なポイントは、『実施するタイミング』です。そして行政は、『入社後に健康診断を行うように』と指導を行っているので、これに習って『入社後』に実施している会社も多いと思います。
もちろん法令を遵守することも重要ですが、採用後の実施では、応募者が「健康に働けるかどうか?」ということについて、本人に聞くしかなく、客観的に確認することができません。
入社前3か月間に法定検診を行っていれば、結果を取得すればこれを取得することができます。実施が困難な場合は少なくとも直近の健康診断結果を提出してもらいましょう。
あまり疑心暗鬼になるのも気が引けてしまいますが、「健康です!バリバリ働けます!」と言いながら、入社後の健康診断でとても働ける状態ではなかった、といったことも十分にあり得ます。
会社が知らなくとも責任を問われる可能性
社員を採用して、実は重い病気を持っていたにもかかわらず、それを知らずに毎日遅くまで残業を命じて、病気が悪化した場合は会社が責任を問われる可能性が高いです。
これを安全配慮義務、健康配慮義務などといいますが、もし健康診断などを行っていなかった場合は、より会社の責任は重くなります。会社は、社員を採用する上で『調査の自由』を有しておりますので、この範囲でしっかり『採用前』に健康診断を実施して、健康な社員かどうかを確認しておきましょう。