必要性があり、通知する範囲を限定すれば可能。
最高裁判所でも、社員に精神疾患がみられる場合、社員の家族や親族に連絡して通常ではない言動を説明し、治療を受けるよう伝えること自体は正当なものとして明確に認めています。(豊田通商事件・名古屋地裁平成9年7月16日)
ただし、通知する範囲は注意する必要があります。同居している直近の家族、配偶者や親などの本人から最も近い家族に連絡を取り、範囲を限定する必要があります。
通知する必要性も単におかしい言動があることではなく、だれが見ても通常ではない言動があるとか、診断結果が提出されて精神疾患や身体に問題がある場合に限られます。安易に通知することは家族からクレームになる可能性も考えておく必要があります。
本人が回復に専念する環境を整えてあげることが先決
精神障害は非常にデリケートな問題です。社員だけの問題と割り切るのではなく、医学の力を借りて慎重に対応し、家族や身元保証人を含めた話し合いの上で休職措置などで回復に専念する環境を整える必要があります。
本人が治療に専念できるよう、しっかり「家族に引き渡す」ことが会社の責務だと言えますし、他の社員からも会社が愛され、組織を強固にするきっかけともなります。