そもそも会社は、社員の残業時間を適切に把握しなければならないのでしょうか?
結論から言うと、法的には把握する必要はあります。
労働基準法108条において、会社は、「賃金台帳を作りなさい」との規定があり、同法施行規則54条5号及び6号において、「労働時間数、延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数を賃金台帳に正確に記入しなさい」となっており、労働時間を把握する必要があるということになります。
この規程には、罰則(30万円以下の罰金)もありますから、残業時間を把握しないと法律違反ということになります。
仮に、御社が労働時間の記録を何も取っていなかったとします。ある社員は、これに不安を感じて、毎日、出社時間と退社時間のメモを取り、さらにパソコンのログデータまで持っていたとします。
もしも、この社員が、これらの証拠を拡大解釈して、かなり過剰な金額と思われる残業代を請求してきた場合、会社はなんと反論すればよいのでしょうか。
会社は、何か証拠をもって反論できないことに加え、司法の場で争われれば、裁判官が抱く会社への心証は、相当悪いことは、目に見えていますから、「負け戦」ということになります。
重要なのは、適正な労働時間を把握し、社員の健康問題も含めた会社のリスクヘッジをすることと言えます。