雇用契約ではなく、業務委託契約や請負契約にしてしまうという方法があります。
業務委託契約は民法643条、656条により一事業主として特定の仕事を処理することを目的として行われる契約です。労務の提供による対価として報酬が支払われるのではありません。社会保険労務士との顧問契約などもこの範疇に入ります。
そして、請負契約とは一つの仕事を完成させることを目的とし、その結果に対して報酬が支払われる契約です。
- 指揮命令があるか?
- 時間の拘束性があるか?
- 業務の裁量性はあるか?
といった点が大きな判断材料になりますね。
メリット
- 労働基準法など、雇用関係に関する法令等からの制限がなくなる。
- 社会保険、労災保険などに加入させる必要がない。
デメリット
- 「いつまでに、こういった仕事を、このようにやりなさい」といった仕事を遂行する方法、時間などの指揮命令が、ほぼ一切できない。
- 明確な線引きができていないと、実質的に雇用契約であると主張されるリスクがある。
一般的な社員に適用するのは、リスクの高い対策方法と考えます。
業務委託(あるいは請負契約)か、雇用契約かは、トラブルになった際には、最終的に裁判所が決定することなので、断定できることではありませんが、業務の時間が決まっていたり、他の社員と一緒に仕事をしていたり、会社の所有物を使って仕事をしていたりすれば、雇用契約と判断される可能性は高くなります。
雇用契約と判断されれば、サービス残業の問題、社会保険や雇用保険の加入の問題が、一気に発生しますから、多大なコストを覚悟しなくてはなりません。実態にもよりますが、無理矢理に都合よく、業務委託契約、請負契約などにしないほうがよいでしょう。
よくあるケースとしては、『業務委託契約していた者が、仕事中にケガをして、「実質的には労働者であるから」と、労災の申請をしようとしたところ、会社に「社員でないと申請はできない」と言われ、困り果てて合同労組(ユニオン)に相談して、労災問題だけでなく、残業代まで請求されたなんてことは、結構よくある話です。