就業規則とは、会社と社員の契約書そのものであるということを、繰り返し説明して参りました。
であれば、社員と合意した内容であれば、何を規定しても問題ないのでしょうか?
結論から言うと、労働基準法を下回る内容の就業規則の内容は、その部分については無効となり、労働基準法の条件まで引き上げられることになります。
例えば、就業規則の就業時間に、「1日9時間労働」と規定して、社員個別に同意をもらったとしましょう。労働基準法32条においては、「1週40時間1日8時間を超えて労働させてならない」となっていますから、潜在的には1日8時間の契約まで引き下げられることになります。
したがって「9時間労働は違法だ」と社員が主張した場合、会社は、労働基準法32条違反及び毎日1時間分の残業代を支払う必要があるということになります。
社員の関係においては、労働基準法の内容は、最低労働条件であるので、これを下回る合意内容は取っ払われ、潜在的には、労働基準法の内容が契約内容になっているということになります。
また、労働基準法を上回る就業規則の場合は、当然ながら社員に有利な就業規則が適用されます。
『知らぬ間にサービス残業させていた』なんてことのないように、実態に合わせた就業規則を作成し、定期的に労働基準法との矛盾がないかどうかを確認しておく必要がありますね。