① 解雇や退職に関する規定ポイント
いわゆる「ひな形」の就業規則を見ると、普通解雇条文に「著しい~」とか「重大な~」といった厳格な表記をしていることが多くあります。それが一律的に問題があるというものでもありません。
ただ一般論として会社側の価値観だけで普通解雇した場合、普通解雇は無効になり、バックペイ(係争期間中の賃金を遡って支払うこと)に加え、復職してくる可能性もゼロではなく、ただでさえハードルが高いものです。
会社を守る就業規則という観点でいえば、理論上「著しい~」や「重大な~」といった規定があることによってさらにハードルを上げていると判断される可能性があります。もちろん、意図してそのような宣言をする意思があれば問題ございませんが、そのような意思がないのであれば、再検討する必要があります。
就業規則に定めた解雇理由でしか解雇できないのか、就業規則に規定していない理由でも解雇できるのかという点については、未だ議論の余地が残るもので、裁判所の管轄地域によっても、判断が異なる場合もあります。
したがって、いずれでも対応できるように「その他各号に準ずる場合」や「当社の社員として適格性がないと判断された場合」といったように、問題行動がストレートに各規定に該当しなくとも、包括的な条項を入れることで対応することを考慮し、このような規定を入れておく必要はあります。
② 服務規律に関する規定ポイント
服務規律は、就業規則というものの出発点であり、会社のルールそのものです。「会社を守る就業規則」という観点では、非常に重要な規定であり、自由度の高い規定でもあります。トラブルになった時のことを想定して作る必要がありますから、解雇や懲戒処分の根拠の一つになるように規定するということを意識する必要があります。
会社独自に定めることができるものですから、形式にこだわらず会社のルールは全て規定しきましょう。そうすると、御社の社員像のようなものが見えてきます。したがって、当事務所において就業規則を作成する場合は、最低でも7~8ページくらいのボリューム感になります。それぐらい服務規律が重要なのです。 作成のポイントとしては、やはり懲戒処分や解雇の根拠となる規定ですので、これを意識した規定作成が重要となります。