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特定社会保険労務士 脇 淳一「試用期間」とは、採用した社員の人物性や能力を評価して、本採用するか否かを決定する制度を言います。

試用期間中や本採用前であれば、いつでも自由に解雇が有効になると思っている方もいらっしゃいますが、試用期間中と言えども、大した理由もなく解雇すれば、解雇無効と判断される可能性が高いので、注意してください。

したがって、試用期間は、通常の正社員よりも、解雇有効のハードルがやや低い期間に過ぎないと考えてください。

まず、試用期間の長さですが、一般的には「3か月」が多いですね。次に「6か月」といったところです。

これに反して「1年」といったような長期の試用期間は、設定できないことはありませんが、やはり「3か月~6か月程度が妥当」と言えます。

その理由は、1年といった長期の試用期間を設けた場合、民法90条の「公序良俗」に反して試用期間自体が無効となる可能性が十分にあり、例えば、採用から1年後の試用期間満了時に解雇した場合、試用期間中にOKとされる解雇のハードルで済まず、正社員と同様程度の解雇のハードルが求められる可能性がありますね。

これでは、そもそも試用期間の意味がなくなってしまいますので、やはり3か月~6か月程度に設定することが妥当と言えるでしょう。

次に、試用期間の延長についても、採用時に試用期間を延長する旨の合意がないと、原則として、延長は認められないと考えられておりますので、延長する場合の理由と可能性をしっかり規定する必要があります。

また一方、本採用拒否規定の文言についても、注意が必要です。

本採用については、「業務適性等を総合的に判断し、決定する」といったように、試用期間は本採用決定のための期間であること確認しておく必要があります。

また、本採用拒否の判断時期についても、「試用期間の満了日までに行う」といったように、試用期間のどの時点においても、本採用拒否できる規定にしておく必要があります。

そして、正社員以外の非正規社員に対しては、試用期間を設定しないこともポイントの一つです。試用期間は長期雇用を前提としているものですから、非正規社員にも試用期間があるとすると、当該非正規社員も長期雇用を予定したものであるから、正社員と同等程度の待遇や雇用保証を主張される可能性もありますので、注意が必要ですね。

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