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特定社会保険労務士 脇 淳一

会社経営における成功の鍵は、しっかりとした雇用契約書の存在にあります。この文書は、社員と会社間の合意を法的に保護し、双方に明確な指針を提供します。本記事では、経営者側社労士の視点から、雇用契約書の効果的な作成と管理の方法を解説します

雇用契約書の基本概念

雇用契約書は、労働条件、職務内容、報酬などを定める契約内容を落とし込んだ重要な書面です。この契約は社員と会社間の合意を形式化し、双方の権利と義務を明確にします。労働条件通知書と異なり、雇用契約書は双方の署名による合意が必要となるもので、より強固な法的効力を持ちます。(合意していない、知らないといった事象が起こりにくい)

労働基準法における雇用契約

労働基準法では、会社は労働条件を文書で通知する義務があり、違反すると罰金を課される可能性があります。しかし、法令遵守だけでは不十分であり、実際の労働環境やリスク予防を反映させるためには、より詳細な契約書が必要です

雇用契約書の作成時の留意点

雇用契約書を作成する際、特に注意すべきは、契約の形態に合った内容の選定です。ポイントは以下の4点です。

  • 1. 書面交付のみでなく合意する
  • 2. 就業規則や各種規程との矛盾回避
  • 3. 雇用形態に対する人事権の設定分け
  • 4. 契約内容通りの実態運用

就業規則との整合性

雇用契約書は、就業規則と矛盾しないように整合性を持たせる必要があります。特に、就業規則で定められた基準より劣る条件を契約書に記載すると、その部分は無効となり得ます

つまり、就業規則や賃金規程と雇用契約書に矛盾する場合、社員にとって、有利な部分だけが契約内容となるという判断基準が必要です。

その根拠になるのは「雇用契約法第12条」です。以下のように規定しています。

(就業規則違反の雇用契約)

第十二条
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める雇用契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

雇用契約法

例えば、就業規則で定められた賃金が月額20万円である場合に、雇用契約書で18万円と定めた場合、この賃金の部分に関しては無効となり、就業規則に基づいた20万円が適用されます。言い換えると、雇用契約書で就業規則の基準を下回る条件を設定することはできませんし、したところで差額請求リスクが生じます

就業規則以上の条件の有効性

一方で、就業規則の基準を超える条件を雇用契約で定めた場合は、その契約は有効です。例として、就業規則での賃金が月額20万円であるにもかかわらず、雇用契約で22万円と定めた場合、この高い賃金が適用されます。

不整合性の予防ポイント

  • 契約書作成時は、就業規則を綿密に確認し、労働条件や義務に矛盾がないかを慎重に検討する。
  • 就業規則の変更があった場合は、既存の雇用契約書もそれに応じて見直し、更新する必要がある。

トラブル予防と雇用契約書の重要性

雇用契約書の正確な作成は、労務トラブルを予防し、会社と社員の信頼関係を築く上で極めて重要です。詳細な契約書によって、期待や職務内容の誤解を防ぎ、双方の納得感を高めることができます。

労務トラブルの予防ポイント

  • 曖昧な表現を避け、具体的かつ明確な条項を設定する。
  • 労働条件、職務の範囲、報酬、労働時間など、重要な項目を詳細に記載する。

雇用形態別の契約内容

正社員
長期的な雇用を前提とした契約で、転勤や昇進などの条項を含むことが一般的です。
パートタイム・アルバイト
短期間や特定の業務に限定されることが多く、過剰な人事権を与えないように配慮する必要があります。

この点が曖昧なままですと、必要以上に雇用保護が生じて、解雇の有効性ハードルが必要以上に上がる可能性がでてきます。雇用契約において、特に正社員に関して会社が持つ人事権の範囲は、雇用保護の度合いに直結します。正社員の場合、会社は通常、昇進、降格、転勤などの幅広い人事権を保有します。これらの権限が強いほど、解雇を含む雇用の安定に関する法的保護も強くなる傾向があります。つまり、会社側が強い人事権を有する場合、解雇などの契約解消に関して、有効と判断されるハードルが高く設定されるのです

解雇の有効性のハードル

正社員に対する解雇は、その有効性を決定する際、様々な法的要因を考慮する必要があります。判例法理では、解雇が「社会通念上相当」と認められるか、また解雇理由の妥当性が厳しく審査されます。強い人事権を有する正社員の場合、会社は解雇を正当化するために、より重大な理由や適切な手続きの遵守を求められることが一般的です。

雇用契約時の注意点

これらの事実を踏まえると、雇用契約を結ぶ際には、会社としての人事権の範囲とその影響を正確に理解し、明確にすることが重要です。特に、正社員を対象とする場合、人事権の範囲を契約文書に具体的に記述し、その後の人事管理や雇用調整において発生しうる法的問題を事前に把握しておく必要があります。

雇用契約書の作成実務

実際の契約書作成では、以下のステップを踏むことが推奨されます。

1. 情報収集と分析
雇用形態、業務内容、労働条件などに関する詳細情報を収集します。
2. 条項の選定
必要な条項を選び、それぞれの詳細を決定します。
3. ドラフトの作成
初稿を作成し、関係者とのレビューを行います。
(専門家から御社専用のドラフトを入手することも選択肢です)
4. 法的確認
法的な適合性を確認し、必要に応じて専門家の助言を求めます。
5. 最終確認と署名
双方の同意の下、契約書に署名します。

結論

特定社会保険労務士 脇 淳一

雇用契約書は、会社運営の基盤となる重要な文書です適切な作成と管理により、労務トラブルの予防、社員との信頼関係の構築、会社の採用力の強化に貢献します。この記事が、雇用契約書の重要性と効果的な作成方法を理解するための一助となり、結果的に労務トラブル回避に繋がれば幸いです。

雇用契約に関するご質問や相談がある場合は、専門の社労士にご相談ください詳細やお問い合わせはこちらから。

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