労働条件の決定は、契約すなわち合意によって、決定されることが大原則となります。したがって、社員の入社時においては賃金、労働時間その他一定の重要な労働条件を明示しなければならないとなっています。
では、就業規則についても同意は必要になるのでしょうか?
結論から言えば、「絶対必要ではありませんが、包括的な同意は取っておいた方が良い」ですね。
就業規則の本来的な意義は、社員が守るべき「服務規律」を定めたものであり、企業秩序を守るためのものです。「当社の社員としてはこうあるべき」といったようなルールをまとめたものが就業規則になりますので、会社が一方的に作成することが前提となっており、この点について、社員の個別同意までは、必要ないということになります。
しかしながら、前頁に申し上げたように、今日の就業規則は、社員とトラブルになった時にその出番が回ってきます。そして、トラブルになった際には「そんな就業規則は見たことがない!同意もしていない!」と言われ、せっかく万全な就業規則を運用していたとしても、結果として、何ら役割を果たさない就業規則になってしまいます。
したがって、実情にあった万全の就業規則を作成しているのであれば、しっかり周知して、これを誓約書などで、包括的な同意を取ることが、やはり会社として「ベターな対応」ということになってきますね。