申告による調査のほうが厳しい調査になる。
労働基準監督署の調査は、社員の申告(申告監督)によるものなのかそれ以外(主に定期監督)なのか、申告によるものであればやはり労働基準監督官の対応も厳しくなる傾向にあります。
申告によるものなのか、そうでないのかを見極めることが最初のスタートラインとなり、このいずれかによって、「会社の考え方を変える必要がある」ということをこれまで説明して参りました。 いずれかを外見上のみで、見極めるのは困難ですが、調査の過程で、ヒントはいくつか存在します。 なんら予告もなく突然やってくる場合は「申告による監督」の可能性を疑うことになります。突然やってくるのは、それなりの確証があるはずであり、ありのままの状態を調査したいと思っている可能性が高いと言えます。 一方、例えば「●月●日にお伺いします。」といったように、調査連絡が事前にある場合は、定期的な監督である可能性が高くなります。期日を指定して、お呼び出しがかかる場合も同様です。
調査に来た労働基準監督官に「この調査は申告ですか?定期的なものですか?」とストレートに聞いてみてもよいかと思います。答えてくれないことも多いですが、意外とはっきり答えてくれる監督官も存在します。 在職者による申告の場合は簡単には教えてくれません。申告者に不利益が生じる可能性があるからです。
申告した本人が名乗りでてきても、間違っても追及するようなことはせず、今後の改善策を説明して、和解をめざしましょう。 「●月●日に調査へ伺います。」と書面や電話などで事前に予告されて行われる場合と、 「お伺いしたいことがあるので、ご来所下さい。」と依頼されて行われる場合については、申告の場合と定期の場合とそれぞれありますが、「お伺いしたいことがあるので、ご来所下さい。」と依頼されて行われる場合については、ある特定の日を決めて、管轄内の色々な会社を呼んで、まとめて調査を行う場合があります。この場合は定期監督の場合が多いように思います。 労働基準監督署の調査が「申告によるもの」なのか、「定期によるもの」なのかによって考え方や対策方法を変えていく必要があります。
申告の場合には申告者との和解や請求事項を満たすことを意識する。
会社が単独で「犯人捜し」をするようなことは決してしないでください。しっかり担当の労働基準監督官を通じて「和解したい」旨をはっきり伝えることが重要です。それが問題を大きくしないための最善策です。
答えてくれない場合には、もう少し踏み込んで「もし申告であれば、当人と話し合って和解しないと、本質的な解決にはならないと思っています。申告者が在職者であっても、決していじめるようなことはしませんので、当人に当社の意向を伝えて頂けませんか?」と聞いてみることになります。
本人も覚悟を持って、申告をしていると思いますから、会社としては真摯に受けて止めて、対応する必要があると考えます。当事務所の経験上では、後日、当人から直接連絡があったり、労働基準監督官を通じて「話し合いたい」旨の連絡があることもあります。